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月探査ナショナルミーティング
2010-04-03
2010年4月3日
有楽町朝日ホール
主催 内閣官房、文部科学省、宇宙航空研究開発機構
https://www.boshu-jaxa.jp/tsukitansaNM/

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投稿者 スレッド
admin
投稿日時: 2010-4-5 17:18  更新日時: 2010-4-5 17:18
管理人
登録日: 2005-11-24
居住地:
投稿数: 105
 Re: 月探査ナショナルミーティング
我が国は、2020年頃を目標にロボットによる無人の月探査と、その後の人とロボットの連携による月探査の実現を目指している。

「月探査に関する懇談会」(座長:白井克彦 早稲田大学総長)による検討状況や月に関する最新の情報を交え、日本らしい月探査とは何かについての意見交換を行い、そこで得られた意見を今後の月探査に活かしていくことを目的とした「月探査ナショナルミーティング」が開催された。

プログラムは3部構成になっており、第一部では、「日本の月探査の現状」と題して、月のさまざまなデータを収集した「かぐや」の成果について、プロジェクトマネージャーである加藤 學氏(JAXA月・惑星探査プログラムグループ研究開発室理学研究グループ教授)から報告があり、続いて、ジャスティン・ティルマン氏(NASA駐日代表部代表)が「米国の宇宙探査と日本への期待」として、講演を行った。

ティルマン氏はその中で、1957年から68年にかけて、米ソが101回の月周回を行ったが、そのうちの66%は失敗に終わり、3名の宇宙飛行士を事故で亡くしていると述べ、月探査には非常に危険を伴うことから、ロボットによる探査の重要性と長期的な投資の必要性を指摘した。

続いて、「「月探査に関する懇談会」における月探査シナリオ」と題して、白井克彦氏(月探査に関する懇談会座長)から、懇談会での検討状況の説明が行われた。
日本らしいロボットによる月探査の進め方としては、段階的に技術を確立しながら実施していく方向だとし、その目的は?「月の科学的研究」と「月の利用」で世界を先導すること ?ロボットやエネルギー技術など次世代技術の革新を行うこと ?「国際的プレゼンスの確立」と「科学技術人材の養成」を挙げ、探査活動の映像を提供することで、国民にプロジェクトへの参加意識と夢や希望を与えることの重要性について述べた。
また、有人による月探査については、具体的な目標は定めずに、まずは基盤技術の構築を進める考えを示した。

第二部では、「日本らしい月探査への夢と希望を皆で語ろう」と題して、ノンフィクション作家の山根一眞氏をナビゲーターに、前原宇宙開発担当大臣、若田JAXA宇宙飛行士をゲストに迎え、「月探査に関する懇談会」の委員と事前に選ばれた学生パネリスト5名と、中学生から大学院生までの参加者を交え、発表と討論が行われた。

はじめに、学生パネリストから「日本らしい月探査」についての発表(一人5分)が行われ、その中で「キラーアプリを持つ、月を環境保全のシンボルにする、医学など他の分野と連携する、月に行くことは人間の本能など」の意見が出された。それに対して、ナビゲーターから、「とても具体的だが、若者らしい突飛な意見がないのは残念」とする発言があったが、ゲストや委員からはその意見に同意しつつも、「自分たちの若い頃は日本人が宇宙飛行士になったり、日本が月探査を目指すことなどは夢物語だったが、今ではそれらが実現し、現実のものになったことで、若い人たちも夢よりも実現可能性のある提案になったのではないか」といった意見や、「軍事ではなく、技術を中心とすることで充分日本らしさが出る」、「小型で高品質な民生品を使うことの重要性」などの意見が述べられた。

前原大臣は、「宇宙に何を求めるのか。月を目指すことに国民の関心はあるのか。多くの国民の声を聞きながら、政治的判断をしていきたい」と述べた。

第三部は、若田光一氏(JAXA宇宙飛行士)、海部宣男氏(前国立天文台長)、山根一眞氏(ノンフィクション作家)による「月探査への期待」と題する対談が行われた。

海部氏は、ハワイのマウナ・ケア山山頂に設置した天体望遠鏡「すばる」やチリのアタカマ砂漠に建設中の「アルマ計画」などの巨大プロジェクトを手掛けた経験から、「長期にわたるプロジェクトは、その国の国民の姿勢を示すものであり、そのプロジェクトに国民が参加するのか、しないのかはとても重要なこと。本来、人類は知らないことを知りたいと思う生き物であり、知らないことを知ることで、自分の生活圏を知ることになる。知らないことは、無いに等しく、日本人全員がプロジェクトを知ることが必要で、JAXAもそのためのお金と人を使うべき」と口火を切った。

若田氏は、「アメリカはオバマ政権になって、有人飛行については再検討することになったが、NASAの予算自体に大きな変化はない。アメリカが宇宙開発をする理由として、科学や国の技術力が高められることで、世界でのアメリカの存在感が増し、国民の誇りにつながる。また、宇宙での活動を教育に活かすこともできる。宇宙開発とは総合的なものである」と述べ、「宇宙空間では一カ月に1.5%のカルシウムが溶け出すが、月ではそうならない可能性があり、月に人間が行くことで医学や生理学での新たな治験が得られる。また、日本が宇宙ステーション計画に参加したことで、宇宙開発での日本の存在感が増し、特に実験棟「きぼう」や運搬船「HTV」の成功は、諸外国から大変尊敬されている。自前の技術を持つことは大変重要である」とし、宇宙開発では、基本的に宇宙船を持っている国の言語を使うことから、「スペースシャトルでは英語、ソューズではロシア語、中国の宇宙船では中国語を喋る必要があるが、それでは宇宙に行くための訓練がすべて語学訓練になってしまう」と流暢なロシア語を披露して、会場を沸かせた。

最後に海部氏は、「何故、宇宙探査をするのか。それは、宇宙という場を借りて、人類が地球でより良く生きるため。また、宇宙探査は探検と科学である。月で技術や人材を育て、高めた上で生命の可能性のある火星を目指すべきだ。地球とは違う環境で育った生命が発見されれば、地球の生物を考えるきっかけになる。火星でなにができるのか、国民全体として考えるべきである」と述べた。

「宇宙村」と揶揄されるこれまでの宇宙開発とは異なる方向性を打ち出そうとしたのか、学生や政治家を巻き込んで行われた今回のシンポジウム。特に、日本の将来の宇宙活動を担う若い人に参加を呼び掛け、彼らの積極的な意見を聞こうとする姿勢はよかったと思う。

しかし、肝心の若い人たちの意見はその意図するところとは異なり、極めて真っ当で具体的。悪く言えばこぎれいにまとまり過ぎて、新鮮味や革新性には欠けたが、委員やゲストが指摘していたように、それは月探査や宇宙開発が夢物語から現実のこととなったことからくる「リアル感」でもあると思う。
また、現職の大臣がおざなりの挨拶ではなく、長い時間(1時間程度)シンポジウムに参加し、参加者の声を聞き、宇宙開発について意見を述べるというのも珍しく、宇宙開発が政治とコミットしていくことを国民が知る良い機会になったのではないか。

プログラムの最後に、恐らく日本的情緒があり、文化的な日本らしさの象徴ということで制作された、童謡「ふるさと」をBGMに、「かぐや」がハイビジョンカメラで撮影した月からの「地球の出」が映された。(「地球の出」の映像はNHKで何度も流れておなじみのものだが、ハイビジョンが高精細過ぎて、まるでCGで作ったような非現実的な映像になってしまい、あまり感情に訴えてこないのはJAXAとしても誤算だったのではないか)

われわれは本当に月を目指したいのか。月にはわれわれを夢中にさせるだけの魅力が本当にあるのか。

月探査に関して、これから本格的な国民的議論が為されていくことになると思うが、今回のシンポジウムを聞いたかぎりにおいては、海部氏の「人類が地球でより良く生きるため、火星を目指すべき」という言葉の方が、説得力があると感じた。

(小林賢一 ロボットメディア)
robocasa
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