誰だって月より火星に行ってみたい

投稿日時 2010-6-24 21:03:00 | トピック: 視点

前原国土交通相(宇宙開発担当)の私的懇談会が「宇宙庁」の新たな設置を提言した2日後、オバマ米大統領は 2030年代半ばに火星に人を送ることを発表した。

国際宇宙ステーション計画以降、国際協調路線に転じたアメリカの顔を伺い伺い宇宙政策を決めていた日本は、ブッシュ政権が掲げた「アメリカはもう一度月を目指す」に従い、じゃぁ日本も月探査に舵を切ろうとした矢先のアメリカ一国至上主義的方針転換に日本の関係者もあわてたのではないだろうか。

火星を目指すというオバマ大統領の発言には、月探査計画の中止を決定したことで、ロケット発射台があるフロリダ州などで雇用不安が広がったことに対する政治的意味合いがたぶんにあるようだが、大統領が火星往きを高らかに宣言することで国の宇宙政策の方向性がきっちりと決まった意味合いは大きいと感じた。
もちろん、月より約200倍も遠い火星を往復するのには2年近くかかることを考えれば、火星に人類が行くことが相当な困難を伴うことは誰が考えても明白だろう。

しかし、市民ランナーが町の10kmマラソンに200回出場したとしてもオリンピック選手になれるとは想像できないように、また、商店街の活性化イベントとFIFAワールドカップ開催とが、手間がかかることでは同じでも、波及する影響力がケタ違いであるように、月を目指すことと、火星を目指すことでは、根源的に大きな相違がある気がする。

先日の「月探査ナショナルミーティング」で、前国立天文台長の海部宣男氏は、
「何故、宇宙探査をするのか。それは、宇宙という場を借りて、人類が地球でより良く生きるため。また、宇宙探査は探検と科学である。月で技術や人材を育て、高めた上で生命の可能性のある火星を目指すべきだ。地球とは違う環境で育った生命が発見されれば、地球の生物を考えるきっかけになる。火星でなにができるのか、国民全体として考えるべきである」と述べていた。

宇宙探査の目的は、「われわれはどこから来たのか、われわれとはなにか、われわれはどこへ行こうとしているのか」、そんな人類究極の知らないことを知ることに尽きる。そしてまた、月と火星を比べれば、誰だって月より火星に行ってみたいと思うだろう。




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